
『住めば都 好きですここが』
私達が暮らす集落の入り口に、ちょこんと建てられた手書きの看板があります。
看板である以上は誰かに向かって書かれた物のはずです。
でも、その看板から私が感じる印象は「暮らしのなかのちょっとした瞬間に、誰を気にするでもなくつぶやいた、個人的な思い」というものです。
「誰かに向けて書いた」というよりは「自分自身に向けて書いたのかなあ」と勝手に想像しています。
私自身は、この地に生まれ育った者ではありませんが、縁あってここで暮らすようになり10年が過ぎました。
私もまた、日常の色々な場面で、
「いやほんと、『住めば都 好きですここが』だよなあ。」
と、心の中でつぶやくことが多いです。

田畑での作業中であったり、
ご近所さんや仲間とのちょっとした時間であったり、
畑までのてくてく歩くほんの少しの時間であったり、、、、。
なにか特別な、豪華で派手な場面ではなく、日々の暮らしの中で、ふと出会う、当たり前で、普通な瞬間に感じる想いです。
ここは、長野県阿南町和合。
長野県の南端に位置する小さな村落です。
田畑を耕し、かつては林業や炭焼きを行い、山の恵みを頂く自給的な暮らしが育まれた、昔話に出てくるような日常。
そんな面影が今なお色濃く残った風景が広がっています。
現在は、人口こそ減っていますが、相変わらず(過去を知らないので、この表現は微妙ですね。)ハッとするような美しい自然の中で、気持ちの良い人達がお互いのことを思いやって暮らす素敵な地域です。

ここに暮らす仲間たちがどんなことを想い、どんな暮らしをしているのか?
それぞれが日々の中で感じる「ここで暮らす楽しみ」を、それぞれの視点で綴ってゆくことになりました。
山村での子育て
現在、全校生徒5名の超小規模小学校の取り組み
田畑の暮らし
伝統芸能への参加
手仕事の楽しみ などなど、
どんな話題が飛び出すかはわかりませんが、実際に暮らしている、体験しているからこそ思うことが綴られていくことでしょう。

綴ってゆく私達自身が「やっぱり『住めば都 好きですここが』だよなあ」と自分たちを振り返る機会になるんじゃないかと想像しています。
きっと、私達らしい、素敵なリレーエッセイになることでしょう。
このリレーエッセイが、誰かに届いて
「こんな地で暮らしたいなあ」
「一度行ってみたいなあ」
という出会いにつながったらうれしいなと思っています。
月一回の連載をお楽しみにしてくださいね。

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「阿南町和合 ~ここで暮らす楽しみ~」というタイトルは、屋久島に移住し、そこでの暮らしの中から感じたことを美しい文章で綴った詩人の、山尾三省さんの著書から引用させて頂きました。
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今日のライター:とき

妻と子ども6人家族で和合にやってきて10年。
3人は巣立っていったので、現在は3人暮らし。
春になり、米と大豆を育てながら、素人大工仕事をしていると、あっという間に秋の収穫期がやってきます。冬は醤油搾りで近隣各地を回り、味噌を作っていると、また春がやってくる。
そんな暮らしをしています。

