小掠家

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日々の暮らしと仕事


 私が田舎移住・新規就農を目ざす際に目標としていたのは「仕事」「家事」「遊び」の区別がつかん様な暮らしです。これは「仕事」でここからは「家事」、今は「休み」でこれは「趣味」なんてつまらない。休日が待ち遠しく、楽しい趣味を求めるのは仕事や家事が面白くないからで、そして、その面白くないことに実は一番時間を費やすことになってる。そんな人生は送りたくない、と。

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 話が「人生論」になってきたので、以下はうちの暮らしを具体的に。

・現在、家族は夫婦二人だけ。もとは1990年に啓司が一人で移住。その後結婚、子供も3人生まれるが、今は皆独立。
・自給型の有機農業が基本。食べものは、海のもの・温暖地のものを除き、加工品も含めほぼ自給。水は沢水、燃料は薪・炭、電気は買ってる。着るものはほぼもらいもんで済ませている。家は自分で建てた。あ、ケータイやパソコンは持っていない。
・それでも最低限の「円」は要るので、稲作(約4反)と養鶏(約150羽)だけは自給の規模を超えてやっている。米と卵はほぼ決まったお客さんに直売。
・アルバイトも「円」確保の有効な手段。田舎では若いもんが平日の昼間にプラプラしていると(本当は働いているんだけど)いろんなとこからお声がかかる。今は夫婦が各週1回ぐらい近くの老人施設で食事づくり・宿直をやっている。草刈り等を個人から頼まれることもある。
・結局、農業では経費を除いた純益が年に60~70万円、アルバイトで年50~60万円ぐらいの現金収入となっていて、あまりお金を使うこともないので(軽トラ関連費(維持費や燃料代)は農業経費に入っている)、これで充分やってってる。ただし子供が高校進学でアパートや寮に入ってた際は、親に年30万円ほど援助してもらった。
・自給暮らしは大変忙しい。普通はお金で買う「もの」、「こと」をできるだけ自分で一からやろうとするのだから。でもこの忙しさは楽しい忙しさ。
・移住してきて以来、不便だとか、寂しいだとか、マチに戻りたいだとか思ったことはただの一度もない。最初の目標通りの日々の暮らしが面白くてしょうがないから。  

                    

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住まい

 「日々の暮らしと仕事」のとこで書いたように、私は1990年、20代・独身・単身でここに移住してきました。仕事(炭焼き等)のためでもない、落人でもない現代型田舎移住はこの地区にとっては私が初めてでした。
 さて、それ以来、一番苦労してきたのが住居の問題です。都会人の感覚で、「田舎は過疎で空き家もいっぱいあるのだからそれを借りて住めばいい。」、単純にそう思ってましたが実際はそうはいかない。空き家の持ち主にもそれなりの貸せない理由がいろいろあったのです。という訳で、なかなかずっと住み続けてもいいという家が見つからない状態が続いてました。そして移住後10年以上経過、結婚を機にどうしても新居を借りたいと、改めて方々交渉したのですが、やっぱり見つからず、ええい、こうなったら自分で建てるしかないか、と考えるに至ったのです。それからいろいろ調べ、勉強し、仮にボロボロのプレハブ(元建設会社の飯場)を借りて住みながら農閑期限定の大工を開始。足かけ8年かけて完成し、ようやく「終の住み家」に落ち着くことができたのでした。

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 こんなことを書いてはみましたが、そうすると、「え~、自分で建てるなんてムリー」という声が聞こえてきそうです。実際、私もそんなこと考えたこともありませんでした。しかし、どうしてもここに住みたい、けど家がない、となった時、そういえば自分で家を建てた人も世の中には居るんだよなぁ、という考えが浮かび、その時出会ったのが『100万円の家づくりー自分でつくる木の棲み家ー』という本でした。「家なんて何も特別なもんじゃない。誰でもできるんだ」「費用は車1台分でいい。勿論人によって中古の軽トラでいいとか高級車に乗りたいとかいろいろあるけど」、「家にとんでもない大金をかけずにすめば、金に縛られずもっと自由に生きられる」というような言葉と、その言葉を裏打ちする技術の記述などに思いっきり背中を押されたのです。そして始めてみて、いっぺんにその面白さにはまってしまったのです。よく「あなたは器用だからできたんだ」と言われますが、それは家づくり・大工仕事を知らない人のセリフ。特に今はいろんな電動工具があるので「匠の技」はほとんど必要ありません。要るのは「やりたい」「面白い」という気持ち、それと少々の根気かな。ローン無用で一戸建て住宅が手に入り、おまけに道具類や知識・技術も残り、人からは「すごいですね」とほめられる。「自分で建てる」という選択肢があることを知っておいても損はないと思います。
 *ここに書いたような空き家をめぐる状況は、最近急速に変わりつつあります。即ち以前と比べ空き家は格段に貸してもらい易くなってます。ただ、そのまますぐに住める空き家は以前と同じく滅多にありません。修理・改築の知識や技術はやはりあるに越したことはありません。

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